盗賊の水さし今 市子
集英社 刊
発売日 2007-04-25
価格:¥750(税込)
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オススメ度:★★★
水にまつわるオリエンタル幻想綺譚集 2007-04-29
『岸辺の唄』『雲を殺した男』に続く、「オリエンタル・ファンタジー」シリーズの第3弾。水にまつわる中華綺譚のよう話が四つ、収められています。
話の器に盛られたエッセンスは詩情にあふれ、素敵な香りを漂わせたもの。もったいないなあ、惜しいなあと思ったのは、話の流れが分かりづらく、登場人物の関係がややこしかったこと。著者の最近の「百鬼夜行抄」シリーズでの話の分かりづらさを、本書でも感じました。
収録作品は、「盗賊の水さし」「苦い水」「浄土の水売り」「二つの井戸」の四篇。読みながら、水にまつわる次の物語を思い出しました。ユルスナールの『東方綺譚』所収の「老絵師の行方」。泉鏡花『夜叉ヶ池』。岡本綺堂『影を踏まれた女』所収の「清水の井(いど)」。本作品集と通じる水の音、水の響きがあると思うので、興味を持った方はどうぞ。
四つの話のなかでは、ややこしいストーリーではあったけれど、二番目の「苦い水」が一番よかった。主人公のランが、「百鬼夜行抄」シリーズの飯嶋律の面影を宿していたこと。SF色とファンタジー色とに彩られた、不思議な味わい深さを感じたこと。このふたつの点で、これは素敵な物語でした。
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この記事は2007/5/10に作成しました。